魔力ノ在ル者ト無キ者4
「何だよ、これ!」
条治は走り回っていた。
沢山の生徒達が条治を追い回す。
逃げているうちに更に増える。
逃げ続けながら、条治は舌打ちをしていた。
条治を追いかけ回しているのは部活生、部活に向かおうとしていた生徒達だ。
「魔導同好会部室へ行け」
頭に声が響く。
「チッ、あいつの言う通りにするしかないか」
対処法がわからない故に、そうするしかなかった。
幸い3年棟の側だ。
もう少し行けば文化系部室棟だった。
「最悪」
条治は悪態をつく。
部室棟の近くに2人の生徒が居た。
「悪いな」
避けて一人目を殴り、二人目を蹴る。
気絶しない程度に倒れてくれればそれで良かった。
条治はそのまま部室棟に入る。
一番奥の部屋。
ドアを開けようとするが、鍵が内側からかかっていた。
「開け、開け!」
大声で叫ぶ。
「助けて!」
不意にドアが開く。
そう叫んだのは総平だった。
田中康雄が二人めがけて物を投げる。
条治はそれを避けると、田中康雄の腹を殴り気絶させた。
「閉めろ!」
総平に言う。
総平は言われた通り、再び部室の鍵を閉めた。
やがて運動部の部活生が部活棟の出入り口を破りなだれ込む。
「これからどうするんだよ」
条治はそう呟くしかなかった。