幻想と現実7
女子達が騒ぐ中、愛里は唖然とした。
夢、いや現実に会った人物が転入生だったのだ。
「甲斐樹です。よろしく」
笑顔を見せずにお辞儀をする。
その白い髪は特徴的だった。
そう、昨夜会った男だ。
「席は雪村の後ろだ」
「はい」
女子が浮き足立つ中、樹は愛里の後ろに座る。
「甲斐、わからない事があったら雪村に聞けよ」
「はい」
樹は担任の言葉に返事すると愛里を見る。
「よろしく」
樹は無愛想に言う。
「え、あ、よろしく」
愛里にはそう答えるだけで精一杯だった。
「甲斐君、前はどこの学校だったの?」
「誕生日いつ?」
「食べ物何が好き?」
ホームルーム後、樹は質問攻めになっていた。
樹は立ち上がる。
「甲斐君どこ行くの?」
質問攻め女子の一人が問うと、ドア付近で振り向く。
「トイレだけど?」
「あ、そうなんだ…行ってらっしゃい」
女子は言うのだった。
樹が去った事により、女子が散らばる。
「イケメンだけど無愛想だね」
「うん」
一部の女子は話す。
それと入れ替えに、里穂は愛里の側に来る。
「甲斐君イケメンだったね」
「うん…」
「愛里、どうしたの?」
「何でもないよ!」
何事もない様に、無理して愛里は答えた。