季節外れの見学会11
「君達は魔法の才能がある」
樹は告げる。
達、卓はともかく条治も含まれた言葉だ。
「俺は違うだろうが」
「いや、エレベーターとスクーターがその証拠だ」
条治のボソッと呟いた言葉に、樹は反論する。
だがそれは、樹と条治にしかわからない。
「あれは魔力で動くんだよ。エレベーターのスピードが君の時と違っただろう」
「それは…だけどそれが魔法だなんて…」
「なら、これで試すといい」
樹は魔力測定器を触る。
その針は、樹が触った途端最高まで針が動いた。
「やってやるよ」
「針が動く様に念じればいい」
言われた様に、条治は固定の場所に手を置き念じる。
動け、と。
できる筈無い、それとまさかという思いが交錯する。
針はゆっくりと動く。
そして、70過ぎで止まった。
「あ、高い」
「そうだね、今やれば君もそれくらいいくと思うよ」
魔法に少し馴れれば使い勝手もわかる、そういう意味だ。
総平は樹の言葉に、興味を示す。
魔法が好きな訳では無い、が便利なのも事実だった。
「これでわかっただろう、君は魔法が使える」
樹は断言した。
後ろでは総平がやってみている。
「だったら何だ、魔法なんか興味無い。俺は入るつもり無いし、卓を入れるつもりも無い」
条治の心は一環していた。
「甲斐、高森君は高くないよ」
針は30程、総平は二人の話を切った。
「それは水を使ってないからだろう」
樹は解説する。
「高森君は得意なものが片寄っている特殊タイプだからね」
「じゃあ、中務は?」
田中康雄は問う。
「万能タイプ、総平もこのタイプだろう」
これには皆関心する。
卓はいつの間にか総平達と馴染んでいた。
「さて、そろそろ高森君は帰らないとね。もうすぐ船の時間だ」
「あっ!でも今からじゃ間に合わないよ!」
「いや、間に合うよ。鞄持って」
「はい!」
卓はいい子だ。
彼は鞄をすぐに持つ。
そして、別れを言う間もなく樹と卓は消えた。