季節外れの見学会6
〈水が増える、か…〉
樹は卓の心の中を読み取っていた。
水やりの時限定らしいが、それは確実に魔法だ。
それが周りに知られていないのは、条治しか知らないからだ。
条治と合流して、職員から校風などの説明を職員室で受ける。
こうしてなんやかんやで一時間過ぎた。
ホームルームが終わり、部活の時間が始まる。
「興味のある部活はあるかい?」
樹の質問に、うーんと唸る。
「運動系はちょっと…」
パンフレットには、沢山の部活、同好会が書いてある。
勿論、魔導同好会も書いてある筈だ。
ただ、同好会は基本部室は無い。
「おっ、パズル同好会はどうだ?卓好きだろ?」
「うん。でも条治は?」
「入ってないからいいんだよ」
必ず一つ入るきまりなので、勿論良くない。
「とりあえず、色々見れば何か浮かぶだろ?同好会は教室だから、行ってみようぜ」
パンフレットには、同好会のやるクラスも書いてある。
幸いにも一年生クラスだった。
「パズル同好会は居るかい?」
教室のドアを開け、樹は問う。
そのクラスは、編み物同好会もやっていた。
「はい、ここです」
パズル同好会の部長は手を挙げる。
条治は、クラスの外に居た。
条治は自分が居ると怖がらせるとわかっているからだ。
「あれ、条治?」
「彼は御手洗いに行ったよ」
こっそりと耳打ちする。
「彼を見学させてください」
「はい、わかりました」
部長は快く引き受ける。
「部長、高見沢です。うちの同好会は、自分で買ったパズル本をやるんだ。メンバーは坂崎君と桜井くん、僕は二年で二人は一年だよ」
パズルをしていた二人は顔を上げる。
「桜井です」
「坂崎だよ!パズル好きなら合うと思うからほら、座って!」
勧められるままに卓は座る。
「君も座って」
部長は一緒に居た樹にも椅子を勧めた。