表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
59/228

季節外れの見学会5

制服の違う生徒は、物珍しい。

それ故に、三人は注目を集めていた。

「卓、奢ってやるから安心しろ」

条治は卓に言う。

「ありがとう」

卓の笑みは屈託無かった。

ここの食堂は格安だ。

生徒のなかには全メニュー制覇とか言う生徒も居なくもない、それだけバリエーションも豊富だ。

結果、条治はかつ丼、卓はたらこパスタになった。

ちなみに樹は焼き魚定食だ。

「おっさんかよ」

「でも美味しそうだよ?」

「少し食べるかい?」

あまりに純粋で、樹は言ってみる。

実際大食漢ではないので問題ない。

「じゃあ、僕のも少しあげる」

「ありがとう」

こういう好意は素直に受け取る。

こうして、樹と卓は少しずつ交換した。

昼からは条治のクラスが体育でそちらを見学する。

三人が入るとザワリとする。

条治のイメージが不良なので、来て欲しくなかったのだ。

とはいえ卓の見学会でもある。

「今日はマラソンだ。中務も入れ」

「…はい」

条治は自らもやらなければいけなくなり落胆する。

実は樹は、事前に体育教師に個人競技になる様お願いしていた。

それは勿論、条治にも参加させる為だ。

かといって団体競技は不仲がバレる、だから本来バスケだったものを変えてもらったのだ。

「へぇ、運動神経いいのか」

樹は感心する。

陸上部には及ばないものの、彼は速かった。

「条治は僕の憧れなんだよ」

その言葉に嘘は無い。

卓にとって、本当に条治は憧れなのだ。

「あいつ速くね?」

「前は最後尾だったよな?」

後で走るクラスメイトはこそこそ喋る。

つまり前は手を抜いていた、ということだ。

最終的に、ペースダウンする事は無く上位で終わった。

「中務、お前速いじゃないか」

「どうも。先生、向こう見た方がいいですよ。二人ゴールしてるし」

話を反らしたいのか、そう言って追い返す。

「あ、あぁ」

教師が慌てて去ると、条治は卓達の方へ来た。

「条治、凄い!」

「当たり前だろ?」

余裕である。

実際息が切れてないので、まだいけるのだろう。

「あともう一時間授業があるけど、職員室行こうか」

樹は言う。

それは、学校パンフレットを渡したりする為だ。

条治の着替えが終わると次のチャイムが鳴り、廊下が静まる。

「高森くん、何か困ってる事あるんじゃない?」

「え?」

「ほら、エレベーターで言ってたでしょ」

「あれは…」

樹の言葉に、卓は困っていた。


評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ