季節外れの見学会1
「中務条治君だね?」
樹はサボろうとしていた条治に声をかけた。
場所は学園裏門、彼はそこから出ようとしていた。
「普段からよく抜け出す様だね、いけないな」
「あ、抜け出す?サボりじゃねーよ、ちゃんと許可は取った」
「知ってる、私は案内役だ」
「はあ⁉騙したのかよ」
条治は呆れた。
今回、季節外れの見学会が開催される。
といっても来場者は一人、条治の幼なじみのみだ。
「あんた転校生だろ?案内し切れるのかよ?」
「それは平気だ、問題無い」
「そうかい、まぁいいや。じゃあ行こうぜ」
条治は歩き始める。
一人では無い為、条治はエレベーターに乗らず徒歩を選択する。
「中務、どれだけの距離があると思っている?」
「さあ?だけど、方法が無いぜ」
「方法ならある、少し待ってろ」
樹は一人、道から外れる。
そして、開発中の飛行スクーターを持ってきた。
「バイク?」
魔力を注いでいない為、今はただのスクーターなのだ。
「これはスクーターだよ、君にはこれを運転してもらいたい」
エレベーターは一度注いだ魔力で出口まで向かい、一方これは平均的に魔力を持続させなければならない。
「へぇ、無免許だぜ?いいのかよ?」
「あぁ、勿論構わない」
これは魔法の質を見る為でもあった。
「キーはどこだ?」
「無い。ハンドルを握り、動くイメージをするんだ」
「は?おかしくないか?」
「新型なんだ。新商品に固定観念はいらないだろう」
「そんなものか?」
疑問に思いつつも、条治はハンドルを握りイメージする。
「動いた」
ノロノロと、だが確実に動く。
「中央のボタンを押してみるといい」
樹は言う。
「自動アシストモードだ。行き先を言うと、操作が簡単になる。イメージもしやすくなるだろう」
「へぇ、いいな」
やがてコツを掴み、条治は平常スピードまで出せるようになっていた。




