バスケ部の事件10
「塚原正毅さん、お話を聞かせていただきたい」
圭介は塚原に立ちはだかる。
「君たちは帰って下さい」
「でも…」
突然現れた圭介に生徒達は戸惑いを隠せない。
「お前、何者だ」
「魔法省です」
「証拠がない、任意でも無い。出直せ」
「データならありますよ、バッチリね。それでも拒否なさいますか?大事にしますか?」
「お前達、帰れ」
ガックリ肩を落とすと、塚原は生徒達に言ったのだった。
「あの、このあとどうなるんですか?」
「塚原は勿論逮捕されます。数年で出られますが、魔法関係の仕事は出来ないでしょう」
貴史の質問に、樹が代わりにこたえる。
「甲斐、明日はちゃんと来るんだぞ」
「はい」
幸成は樹の返事を聞くと、校舎へと向かっていった。
「じゃあ、此方は帰るとしよう」
樹は歩き出す。
「甲斐、君は…」
「詮索は無用だよ。魔法に関わらない方がいい、君はバスケ部に戻るんだ」
「今さら!戻れるわけ…」
「諦めるのは簡単だ。だが、今諦めたら先々頑張れない。それに、君はバスケが嫌いになった訳じゃないだろう?」
「…あぁ!」
振り向いて言った樹に、貴史は決意を込め返事をする。
樹はそれを見ると満足な顔で貴史と共に再び歩き始めた。