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バスケ部の事件8
「パス!」
「そっち回れ!」
二校は言い合いながら試合する。
だがさすがレギュラーメンバー、容赦無い。
追い詰めなければならないので、当たり前だが。
そんな中で点差は開いてゆく。
樹はチラッと塚原を見る。
彼は苛立ちが蓄積してゆく。
だが、塚原は前半戦ではとうとう魔法は使わなかった。
「甲斐、大丈夫なのか?」
高坂は心配になる。
そう、万が一塚原が魔法を使わなければ意味が無い。
「大丈夫だよ、葉月がたっぷりプレッシャーをかけた筈だからね」
幸成はニヤリと言う。
「?」
「つまり理事長が塚原に脅しをかけたという事、ですよね」
「せっかくオブラートに包んだのに、甲斐は容赦無いな」
訳がわかってない貴史に訳してあげた樹に、幸成はわざとらしくため息をついたのだった。
「甲斐、この方どういう?」
「阿川幸成、理事長の元旦那。まあ、知り合いなんだよ」
貴史は、二重に驚いた。
「後半戦、始まりますよ」
圭介が言うと、雑談は止まった。