バスケ部の事件6
放課後の屋上、貴史は翔に迫られていた。
「高坂、魔導同好会に入らないか!」
「ちょっと、やめようよ!」
総平は必死に止めていた。
〈甲斐、助けて!〉
それはテレパス。
万が一、翔が無差別に勧誘した時の為、総平にやり方を教えていたのだ。
「翔」
樹は翔を睨む。
救難信号からちょっとしか経っていないのに現れ、総平は驚くが喜んだ。
「甲斐、助けて!」
「翔、言ったよね」
「でも、早く勧誘しないと!」
「翔!」
樹は怒っていた。
いや、そう見せた。
「フン」
翔は去っていく。
「何、あんたらケンカ?」
貴史は樹に問う。
だが樹は答えない。
「ま、あいつしつこいから助かったよ」
「そうか、すまなかった」
樹は翔に変わって頭を下げる。
そして、
「もしかして、あんたも魔法同好会?」
「そうだ」
「何で俺を部活に誘ったの?」
「それは…高坂が部活をやめたからだ」
「へぇ…で、魔力はあんの?」
「どうだろうな?簡単に測れるものではない」
嘘では無い、普通は機械で測ってわかるものだからだ。
「じゃあ、あてずっぽう?無かったらどうすんだ?」
「それは高坂が心配する必要は無い。そうだな、詫びと言ってはなんだが、土曜付き合ってくれないか?退部の原因を取り除こう」
「?」
「不正を暴くんだ。このままじゃ悔しいだろう?」
「そんな事出来んの?」
「あぁ、奴が魔法さえ使えばな」
だが、樹の顔は自信たっぷりだった。