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バスケ部の事件3
「樹、誰を勧誘するんだ?」
樹の部屋、約束通り翔は来ていた。
樹は自らは勉強用の椅子に座り、ベッドに翔を座らせる。
翔の顔は期待と興奮に満ちていた。
余程団体戦に出たいのだろう。
「中務条治、後は脚下だ」
その言葉に、翔は虚をつかれた。
そもそも今日一日、中務条治と会っていない。
更には彼は不良だ。
馴染めるとも思っていない。
「何で⁉不良だよ!いつ魔力を測ったんだ!高坂とか他にもいるじゃん!」
翔は樹に詰め寄る。
納得がいかないのだ。
「すべてにおいて理由がある。納得できないなら、保留すればいい。二年になって一年を勧誘するのもありだろう?」
それはそうだった。
だが、使う練習もしなければならない。
「とにかく、君の願いは叶えた。それに焦らなくてもまだ時間はある、案外どうにかなるものさ」
「っつ!部屋に帰る!」
「あぁ」
翔が大きな音を立てドアを閉めると、樹は椅子にもたれ掛かる。
「さて、どうするべきか…」
やることが山積みだった。