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部活不加入者の選定8
「彼に魔法を使わせる必要は無い」
樹は呟く。
もし中村郁斗が魔法を覚えても、きっと使わないだろう。
だからこそ、魔法を使う人間は選ぶべきだ。
本人がその気が起きないなら強制するべきでない。
それに、樹はもう誰にするかは決めている。
「もう、候補者の調査は必要ない」
樹は振り向くと、翔に告げる。
「ちゃんと説明してよ!」
「わかった。夜、部屋に来るといい」
「絶対だよ!」
そう言うと、翔は去っていく。
クラスに戻ったのだ。
「さて、煩いのが居なくなったな」
樹は呟く。
だが、しなければならない事はまだある。
樹は魔法で瞬間移動すると、理事長室に飛ぶ。
「葉月、聞きたいことがある」
「あら、何かしら?」
待ちわびていた様に葉月は問う。
驚きも何もしない。
当たり前だ、リストを翔に渡したのは葉月なのだ。
「全く…」
「待ちわびたわよ。さ、何かしら?」
葉月はニコニコしていた。
予測等できているだろうに態々問うのだから達が悪い。
既に何度目かのため息をついて、樹は質問をするのだった。