部活不加入者の選定5
結局、残りの候補の二人は食堂に現れなかった。
他の生徒に聞く訳にもいかず、会う前に樹と翔は登校する。
「腹へった…おばちゃん、飯は?」
二人が校舎に出た後、食堂に不良が現れる。
「条治君、またかい?遅刻するよ!」
「平気平気、実は裏通路見つけたんだ。食べて出ても間に合うさ」
「そうかい?なら良いけど…」
中務条治は食堂のおばちゃんと親しそうに話す。
「山田さん、中村君の所持ってくから片付け始めてて頂戴」
「わかりました!」
「条治君、食べたらすぐ行くんだよ」
「わかってるって」
丼を頬張りながら条治は応える。
食堂のおばちゃんは条治に渡した丼を持つと、食堂を出た。
「中村君、朝食だよ」
一般男子一人部屋、中村侑斗はガチャリと鍵を外す。
「ありがとう…ございます」
暗い顔で侑斗は礼を述べる。
「昼からはちゃんと行くんだよ」
「はい…」
やはり暗い表情で彼は答えると、トレイごと丼を受け取り鍵を閉めた。
「心配だねぇ」
ため息をつき食堂のおばちゃんは言うと、彼の部屋から遠ざかる。
「条治君は行ったかい?」
「はい。ですが、本当に間に合うんでしょうか?」
「さてねぇ…山田さん、残りをちゃっちゃと片づけちゃいましょう」
食堂のおばちゃんが言うと、山田さんは返事をする。
食堂のおばちゃんは、ここの寮母でもある。
だからこそ、特に心配なのだった。