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魔法古書の鎖4
「愛里、朝だよ!」
里穂の声がする。
「うーん、もうちょっと…」
「部活は⁉遅刻するよ!」
「嘘⁉何時⁉」
ようやっと覚醒した愛里は飛び起きる。
「里穂ありがとう、助かった!」
「じゃあ私は行くね。おにぎりは私が持っていってあげるね」
「うん、ありがとう!」
里穂は「後でね」と言うと、愛里の部屋を出た。
愛里は急いで支度をすると階段を踊り場まで飛び下り、それを繰り返す。
そしてあっという間に一階まで下りた。
昇降口から出ると、軽いストレッチ。
「よし!」
気合いを入れる為、ポーズを取る。
「ヨーイ、ドン!」
愛里は自ら言うと、スタートした。
無意識に魔力を使い、スピードを上げる。
〈最近の疲れが嘘の様…〉
古書とのリンクは、細々と残る。
直接リンクはできなくとも古書と愛里は繋がっていた。
そして、愛理はほぼいつもの調子を取り戻した。
「愛里!」
「里穂!」
グラウンドに里穂が現れる。
早弁用おにぎりと昼の弁当を持った里穂が現れると、愛里はスピードを上げる。
「あれでドーピングしてないんだからズルいよね」
グラウンドを走りながら、部員達は愚痴るのであった。