魔法省魔法書管理部魔法古書管理室11
新しく、魔法省管轄の学校ができた。
佐渡を買い取り作ったものでそのまま佐渡高校、ひねりが無い。
1日の後半を使いきり、樹は学園内を見回る。
この日はようやく魔法書を巡らせる作業に入るのだ。
学園長は魔法省の人間を、樹をもてなそうと回っているので樹の本意では無い。
学校はもう開校しているし、見回りの人間も何人も来ているのに飽きないものだと樹は思う。
自然を壊さず作った。
何人にもしているだろう説明を樹は聞く。
教師や生徒とすれ違っては毎度会釈する。
正直面倒くさい。
残りのリストの半分を栗原達に回すのが条件とはいえ、本当に面倒くさかった。
しばらく歩き回っていると、少しの魔力を感じた。
その方向に目を向けると恐らく教師であろう男が居た。
遠めだが目が合うと、彼は一瞬の会釈で踵を返した。
「どうかなさいましたか?」
学園長が問うと、樹は「何でもありません」とだけ言って再び前を向いた。
樹は魔法書を取り出すと学園長に渡す。
学園長はそれを笑顔で受け取ると、起動させた。
樹は問題無いか確認すると、引き止めようとする学園長に適当に理由をつけて魔法省に帰っていった。
「おかえりなさい」
栗原圭は昨日よりバテていた。
それはそうだ、突然仕事量が増えたのだから。
「樹はいいな、平日はのんびりできるんだから」
「授業や監視作業、生徒や瀬戸に振り回されて大変なんだが…」
ちらっと室長の阿川幸成を見て言う。
だが、彼は気にしていない。
「暫く自室で休んだら戻るよ」
樹は言うと、魔法古書管理室から出たのだった。