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魔法省魔法書管理部魔法古書管理室10
「これは…」
樹と美奈は驚いていた。
それは炎というよりも火事だった。
松田信弥の身体は炎に包まれ、直人自身が茫然としている。
「暴走…」
樹は呟いた。
これは本人にはもうどうしようもなく、周りの魔法使いが消火、松田信弥の治癒をしていた。
「魔法の関係無い所に行くのもわかるわ…」
映像を終了して美奈は呟いた。
「だからこそ、彼には習得してもらわないとな…」
樹は言うと、トレーニングルームの直人を見た。
「意識を集中して!」
「は、はい!」
直人はトレーナーの指示通りにする。
といっても恐怖は拭えない。
トレーナーは田所絵里奈。魔力も高く樹の友人であり、快く頼みを受けた。
本来は研究部の部長だ。
「魔力量をコントロールしないと、いつまでたってもゲスト入場になるわよ」
「はい!」
返事だけはいい。
だが、わかっているができない。
「しばらくかかりそうだな」
「ちょっと、見ないの⁉」
「田所がいるんだ、大丈夫だろう」
樹は言うと見学室を出た。
魔法省内の自室に久しぶりに入ると、樹は眠るのだった。