魔法省魔法書管理部魔法古書管理室9
「ただいま戻りました」
樹はリストの半分を1日で本当に終えてしまった。
「樹お疲れ様」
栗原圭はぐったりしつつ言う。
半々で分ければいいものを、彼は一人で回るので疲れは溜まる。
それでも普段から少しづつ片付けている分、樹よりはマシだ。
「大山は?」
「新人君のとこ」
つまりは訓練室だ。
樹は地下から訓練室へ向かう。
「樹、終わったのね」
「あぁ」
見学室には大山美奈が居た。
「彼、魔力凄いよ。はい、データ」
美奈はパソコンのデータを見せた。
それは、魔法書に吸収させた方がいいくらい凄かった。
樹自身も、魔法書に定期的に納めている。
「成る程な、素人がこの魔力を放出すれば事故が起こるわけだ」
「何の事?」
なにも知らない美奈は樹に問う。
樹は社長に聞いた事を話した。
といっても自分で見た訳ではない。
二人はその時の映像を見た。
「決勝戦、二対二で迎えた決勝戦、和田直人と松田信弥だ!」
進行役は大きな声で言う。
樹は驚く。
なんせ、松田信弥は、工藤社長の秘書松田信希の弟だったからだ。
映像には二人の姿が映される。
不安な直人と、逆に自信満々の信弥だ。
「和田君、大きな炎を連想して!」
教師は叫ぶ。
つまりリタイアは許さないと言うことだ。
直人は目をつぶり、手を前に出す。
言われた通り、大きな炎を連想した。