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突然の合宿指針9
「は、何だこれ…」
橋に居る人は走る。
だが、皆が皆そうな訳では無い。
勿論、陸地の人々も逃げ出す。
橋に火が点く。
老夫婦と親子連れが逃げ損ねる。
「抱えて逃げろ!」
親子連れに叫び、母親はそうする。
既に人々は逃げきっていた。
舌打ちすると、橋を修復する。
後は老夫婦だけだ。
「ゆっくりでいいからこっちへ!」
老夫婦に叫ぶ。
しかし、それは難しそうだ。
「よく頑張ったね」
樹だった。
老夫婦の側に降り立ち、二人を簡単に抱え、戻って来た。
幸い公園には、池の側にはもう居ないだろう。
颯が止めると、橋は崩れ去る。
「大丈夫⁉️」
二人がやって来る。
「結城、頼む」
本当は水の魔法で消す方が良いが、ここには居ない。
影で覆うのだ。
翔は頷くと、魔法を発動した。
相手の魔力が強いのか苦戦はするが、ゆっくりと水面を影で覆う事に成功した。
「ふうん、消せるんだ」
樹の耳に、そう聞こえた気がした。
一般人の魔力だろうと無視していたが、其方を見る。
そこには二人の少女が立っていた。




