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突然の合宿指針6
「とりあえず身元はしっかりしてるから、安心しろ」
阿川は樹に言う。
「はあ…」
樹は上司を信じるしか無い。
運転手が突然、「もうすぐパーキング着きます。遊べますので一時間で戻って下さい」と言うと、「はい」とそれぞれが返事をする。
「信じていいんですね?」
「勿論だ」
阿川は自信満々に言った。
「じゃあ、此方は予定通り魔法省に向かいます」
「待ってるぞ」
「はい」
そして電話を切った。
「どうなったの?」
総平が樹に聞いてきた。
「上司の知り合いが向かうみたいだ。此方は予定通りに魔法省へ向かう」
「心配だね」
「条治もいるし、どうにかなる事を願うしかないな」
そう言う間にも高速を進む。
「連城、自転車は必要無くなった」
「そう?」
自転車雑誌から顔を上げると、何事も無い様に答える。
「申し出は嬉しかった」
「良かった。なんかあったら貸すからな」
「あぁ」
そして又、雑誌に目線を戻した。
翔にも予定通りと伝える。
その間に、バスはパーキングエリアに入った。