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突然の合宿指針5
「あの、どうかしましたか?」
運転手は樹に恐る恐る声をかける。
不穏な空気を感じたのだろう。
「降ろして下さい」
「え、高速ですよ?…じゃあ、次のパーキングでなら」
しかし、その間に距離は離れる。
「…わかりました」
運転手に罪は無い。
それに、ここで降りると危険だ。
「自転車使うか?」
颯は問う。
魔法の概念が少なく、走りでは大変だと判断したのだ。
だが、人気高速のパーキングだ。
一般人が沢山居る。
「助かる」
その後、樹は阿川に電話する。
「行き先はわかりますか?」
「すまん、わからな…ちょっと待っててくれ」
一度電話が切れる。
「友人が向かうと言ってる。呼ばれたみたいだ」
「は?」
「総務部秘書課に潜り込ませてたんだが、あいつオールラウンダーなんだ」
「友人?あいつ?」
「そうか、言ってなかったか。高垣陽一郎、俺の友人の弟。コネで秘書課に数日前に配属させたんだ。水使いじゃないから入れるの大変だったよ」
阿川はアハハと笑う。
いや、此方は笑い事では無いのだがと樹は思った。




