215/228
突然の合宿指針2
「全員集まってるね。僕は行けないから、いつも通り甲斐が引率だからね」
睦月は部員達に言う。
「はい!」
返事をすると、皆フェリーに乗り込んだ。
樹が伝えると、翔がノリノリで皆を言いくるめた結果、決行は決まった。
もし断っていたらどうなったのだろうかと樹は思ったが、それは結果論だ。
上司からの報告も無かったし、間に合わなかったと踏んで諦めた。
もし何かあったら樹がどうにかするしかないのはいつもの事である。
そんな時、スマホの電話が鳴る。
上司阿川幸成からだった。
「もしもし、樹?遅くなったな」
「はい、遅いです。当日です。船の上です」
「すまなかったな。で、調べた結果だが…」
文句を言ってもスルーされ、調べた結果を伝えられる。
総務部の平職員はなにも知らなかった故、とっかかりが難しかったらしい事。
主催は水守美伽、それと数人の側近だけだった。
場所も目的も判らず仕舞いで、不甲斐ない結果だった。
樹はため息をつき、何も無いのを祈るばかりだった。