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盗まれていた魔法書9
普段は学園専用フェリーとして使われる船で、魔法省社員が大勢やってくる。
今は全国で事件が多発する為、色々な部署が混合部隊としてやって来ていた。
「我々は事情聴取を担当する」
総務部トップ水守美伽は指示を終えると、部下二人を引き連れて理事長の屋敷へやって来た。
尋問室として宛がわれた部屋に、犯人の冬子や田中康雄、事件に関わった者達が一人づつ尋問される。
冬子は、事件の事を事細かく話した。
「では、主犯の長峰水の事を話しなさい」
「はい…」
しかし、冬子は口をハクハクとするだけだった。
「どうした?話しなさい」
「あ…」
それは、田中康雄も同じであった。
自信満々に事件や負魔石の事を話したというのに、スイの事だけは口にできなかった。
「……同じか」
水守美伽はため息をつくと田中康雄を置いて部屋を出た。
「待て、ふざけるな!ここから出せ!」
田中康雄は吠えるが、美伽は無視をして部屋を出ていった。