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盗まれていた魔法書8
「ふざけるな!」
負魔石は怒りを増長させ、先程より多い鎖を田中康雄は樹に放つ。
樹は本を持ったまま逃げ回った。
「魔力を本に戻す」
長く伸びた鎖に向け、逃げながら樹は本を開いた。
本は鎖を吸い込み、田中康雄の持っていた本の魔力を枯渇させる。
次は反対側、右耳のピアスを砕いた。
「君に勝ち目は無いよ」
その言葉に田中康雄は次の本を取り出す。
しかし既に二つの負魔石を砕いている事で、田中康雄の魔力使用量は減っている。
「拘束」
田中康雄の真下に魔方陣が浮かぶ。
それは、吸い込んだ魔法書を使ったものだった。
魔方陣から鎖が飛び出し、田中康雄を拘束する。
持っていた本を落とし、魔法はもう使えなくなった。
指輪、ネックレス、腕輪、ヘソピアス、更に全身に沢山ピアスを施していた。
「ここまでするのか…」
樹はひとつづつ砕いていく。
「あ、あぁ…」
田中康雄は絶望に染まる。しかし、魔法は使えない。
葉月はネネコが回収し、去っていった。