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盗まれていた魔法書3
「何で君がそれを持っている?」
樹は問う。
それは当然の疑問だ。
魔力が無い筈の者が魔法書を使って魔法を行使しているのだから。
「魔力はあったよ、微小だけどね」
そして、耳のピアスを見せる。
成る程、感知出来ないほどの量だったのかと納得する。
機器にすら反応しない程の量を、負魔石で増幅したらしい。
それでもここまで使えるのか、と疑問に残る。
それは顔に出ていたらしい。
「ああ、納得してないか。ここまで増やすの大変だったよ」
言いながら腕や足を見せる。
そして、胸元の肌も見せた。
負魔石は、あちらこちらに植え付けられていた。
沢山に散りばめてあり、胸元には物凄く大きな負魔石。
一ヶ所でない故に、大変な作業になる。
下手をしたら、死にかねない。
「無茶な事を…」
だがこれはやらなければならない、田中康雄の為にも。
「君の負魔石、破壊させてもらう」
樹は言うや否や、急接近する。
ところが、それは叶わなかった。