204/228
盗まれていた魔法書2
どういう事だ?
樹は怪訝な顔をした。
入れなかったエレベーターは簡単に開いた。
樹が乗ると、自動で閉じる。
そして、自動で動いた。
まるで彼を誘う様に。
「ククク、やっと来た」
外套の青年は呟く。
それと同時に、理事長を部屋へ招いた。
「開いた」
それと同時に理事長はぐるぐる巻きにされ倒れた。
青年はパサリとフードを外す。
「田中君⁉️」
田中康雄は本を開き呪文を唱えると、理事長は浮いて田中康雄の近くに移動した。
「理事長は人質になって下さい」
彼は根倉な笑みを浮かべる。
その後直ぐに樹がやって来た。
「……」
「久しぶり」
田中康雄は言う。
彼は魔力は無い筈だ。だが、この魔力は…。
「こんなやり方があるなんて知らなかったよ」
魔法書を出し、呪文を唱える。
鎖は樹を追った。
勿論樹は難なく避けるが、これは。
「この魔力は…」
「そう。甲斐樹、君の魔力だ!」
田中康雄は高笑いをする。
彼は、いつからか部室に来なくなっていた。
そして、誰も気にはしていなかった。
誰も気付かなかった。