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私怨の復讐14
「あ?」
柄悪く信弥は顔を歪める。
信希は咄嗟に腰に腕を回して引き下がらせていた。
「邪魔するんじゃねーよ」
舌打ちをしてしゃがむ。
両手を地面に付けると、一言呟く。
「一緒に死ね」
二人の周りに円状に柵の様に尖った岩が出現する。
その上、二人に向かって岩が隙間なく出現した。
段々地面は減ってゆく。
「助けなければ死ななかったのになあ」
大きめだった故、時間が数秒掛かった。
「あの時の魔法、下に向かって使って下さい!」
「は、はい!」
逃げ場が無く信希が言うと、直人は言われた通りにする。
魔法を地面に向けて膨らませ始めると、段々浮いた。
それは、信希が魔法で浮かせていたのだ。
「集中して、弟を倒すのは君でなければいけない!」
そして、直人の腕の方向を変える。
「撃つんだ、銃の音を!」
信希の言葉に、二人で撃つ。
「せーの!」
「バン!」
二人で叫んだ銃声は、信弥の方へ魔法は向かった。
「冗談だろ⁉️」
しかし、足は動かなかった。
恐怖した訳でも竦んだ訳でも無い。
兄、信希のせいだ。
「くそっ!」
一か八かだ、魔力を込める。
魔法を包め、手から砂を出すが間に合わなかった。