魔法省魔法書管理部魔法古書管理室5
「さて甲斐、休んだ5日のたまった仕事を片付けて貰おうか」
阿川はニヤリと笑う。
デスクには書類が溜まっていた。
「少しは手伝ったよ」
「そうそう、でも自分達のも多いんだもん」
栗原大山コンビは何気に愚痴る。
そして逃げてしまった。
恐らく栗原は外回り、大山は魔法省の個室で入力作業だろう。
この仕事は基本二人一組、栗原大山コンビと樹の単体、それから室長しかこの部署には居なかった。
つまり和田直人は新人だ。
「とりあえずは本の所持者を回るか」
一枚のリストを見た。
「和田、この部署に転属したのはいつだ?」
「昨日です!」
「中途採用だよ」
直人と幸成の言葉に頭を抱える。
つまりは和田直人は昨日入社したばかりの新人だという事なのだ。
「ここに来る前は?」
「大学に通ってました!」
「社会人経験は?」
「ありません!」
樹は更に頭を抱える。
「あんた、よく魔法省に入れたね」
「ま、魔力主義だからね」
幸成は軽く言う。
樹はデスクに座るとパソコンを開いた。
和田直人、と社員プロフィールを検索する。
出身校は東都高校。魔法学園の一つで魔法部所属、大会で主将も勤めている。
大学は一般の大学、ただし休学中。
「あんた、休学中なの?」
「はい、ちょっと金銭が必要で。卒業後に正式に入る契約で雇ってもらいました」
「ふーん、成る程ね」
樹は納得してパソコンを閉じた。
「じゃあ行こうか」
樹は言うと管理室から出た。