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幻想と現実2

「見てないです見てないです!忘れます!助けて下さい!」

青年は首根っこを掴み、必死な彼女を旧講堂に連れ戻す。

「あら、戻ってきた」

女性はそのままそこに居た。

「おい、こいつ生徒だろ。どうするんだ」

彼女を前に出す。

制服を着ているから学生だと分かりやすい。

「あら、雪村さん」

「ごめんなさいごめんなさい…理事長、先生…?」

聞き覚えのある声に、少し怯えが治まる。

「あなた、何故こんな所に?」

先程とは違い、不思議そうに理事長は問う。

「星を見てました。あそこ、定位置だから…」

「誰も来ないんじゃなかったのか?」

青年はじとりと理事長を見た。

改めて青年は女生徒を見る。

赤茶色の髪、大きな瞳、逃げ足の速さ、そして彼女の定位置。

「ネネコ、みたいだ」

突然の言葉に理事長は笑い出す。

「ネネコちゃん、懐かしい!でもここで言う⁉」

一方、ネネコと言われた雪村愛里はきょとんとしている。

それはそうだ、ネネコと言われても意味がわからない。

「そういえば、お前に預けた筈だが?」

青年が睨むと、理事長はヤバいという顔をする。

「それがね、預けた半年後に死んじゃって…ごめんなさい!」

言い訳直後に理事長は謝る。

それもそうだ。

死んで二十年、一度も連絡すらしていないのだから。

理事長はそろっと青年の顔を見る。

「教えてくれれば弔えたものを…」

「それは大丈夫、ちゃんと見送ったわ」

青年が怒らなかった事をいい事に開き直る。

「墓は?」

「講堂の側よ、行く?」

「こいつの処理は?」

「後で記憶消去すればいいんじゃない?」

「わかった」

「じゃあ行きましょう」

理事長は愛里に手を出す。

こうして三人は講堂を出た。

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