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私怨の復讐12
「もうそろそろか…」
弱小の相手は飽きた。
兄も和田直人も弱い。
そして時間も頃合いだろう。
「おいあんた、学校に向かわなくていいのか?」
手を止めさせると、信弥は突然樹に言った。
「なに?」
「俺の仲間が二人、うち一人が学校で暴れている筈だ。そして、もう一人はあんたを待っている」
「……」
「あんたが行かなかったら、学校が潰れるかもな」
「……」
「あんた、仲間を信用してないんだろうなぁ。そこの奴らや後輩が俺を倒せると思っていない」
「そんな事は…」
「向こうの仲間は信用しているのか?それとも死んでも構わない?」
樹は苦虫を噛み潰す。
「試合が終わったら奴を捕まえる権限を与えます」
刑務官や信希に言うと、樹は消えた。
「チョロいな」
そう言うと、信弥は直人に向き直る。
「さあ、罰の時間だ」
そう言うと、舌ピアスを見せる。
「負魔石!」
直人が叫ぶと皆動揺する。
既に強さは証明されている。
なのに強さが上書きされるのだ。
あれを破壊しなければならない。
それは、刑務官や一般人には荷が重かった。