私怨の復讐9
「先ずはこれを着て下さい」
刑務官、今宮慶介は服を差し出す。
その服は彼の予備らしい。
筋肉はあるが細身の彼の防火服は少しキツい。
彼の防火服はピッタリタイプだった。
普段は使わないらしく、その上から制服を着ているらしい。
長袖のものに黒のスパッツ風、直人には少しキツいがギリギリ着られる。
その上からワイシャツと別の刑務官の制服のショートパンツを借りた。
長ズボンは焼ける可能性があるから、という事らしい。
「動けますか?」
「はい」
腕をぐるぐる回したり、足を振ってみたりする。
少しキツいが問題は無い。
「では手本を見せます」
そう言うと、今宮は拳に火を纏わせる。
「こんな感じです。魔力を身体から手に伝わせる感じです」
今度はそう言うと、直人にやる様促す。
「魔力を身体から手に…」
今宮がやったのを直人は真似る。
「身体が暖かい…」
「その調子です。でも、本当に身体を焼かない様に注意して下さい」
「はい」
「出来ましたか?」
「多分」
その返事を聞くと今宮はメモを取り出す。
紙を破ると、それを直人に近づけた。
一瞬で紙は燃える。
「合格です。同じようにもう片方の手や足にも同時に出来れば問題ありません。戦闘中でも纏えるようにして下さい」
これだけ言うと、今宮は持ち場に戻った。