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私怨の復讐7
その光景を樹はチラッと見る。
あちらこちらで事件が起き、学校に向かいたいのに向かえない。
人員も無い。
更にはこちらで足止めだ。
申請はしているから向かう手筈は整えて誰かが向かうだろうし状況がわからないがどうにかはなるはずだが、樹は今の状態に頭が痛い。
だが、とりあえずはここをどうにかしたい。
それにはまず直人を鍛えるべきだろう。
しかしどうやって?
炎魔法を少々習った程度ではどうにかならない。
魔法無しの体術は習っているらしいが護身用だし、コントロールか。
となると…。
「魔力を分散させる」
「えっ?」
「魔力を分散させるんだ」
「はいっ!」
魔力を分散、魔力を分散…。
心の中で唱える。
「どうやってすればいいですか?」
その言葉に困ってしまった。
長年使っている為、そこまで考えていない。
教え方がわからなかった。
そこで、刑務官に目を付ける。
「武器は何を使っていますか?」
近づくと、見張り用の刑務官の一人に訪ねる。
「鞭です」
その右の刑務官にも訪ねる。
「警棒です」
一人目の左の刑務官にも。
「銃です」
「鞭と警棒と銃、どれがいい?」
樹は直人に問うのだった。