私怨の復讐3
「試合の再開、するよな?」
信弥は断るなんて言わせないとばかりに言う。
確かにコントロールの練習はした。が、直人に実践は一度も無い。
「信弥、やめろ!」
「部外者は引っ込んで貰えます?」
うざい、と顔を歪め信弥は言う。
そう、信弥には家族なんてもう居ない。だって、病院を抜けた日に捨てたのだから。
「信弥…」
信希は呆然とする。だが、どうすることも出来ない。
直人は困って樹を見た。
明らかにターゲットは自分なのだ。
かといって、どうすればいいかもわからない。
「松田信弥、きみは再試合を望むんだな」
問うたのは樹だった。
「ああ」
信弥の望みは殺し合い。死んだ方が負けである。
「なら、高校ルールと一緒でいいな?気絶、降参で負けで…」
「いやいやいや、待てよ。それじゃあ面白く無いだろう?」
樹の言葉を信弥は遮った。
「どちらかが死んだら負けだ。甘っちょろいと面白く無いだろう」
「なら認めない。いまから拘束する」
「わかったよ、一応、それでいい」
溜息を一つつくと、信弥は呑んだ。
だが、ルールなんて守るつもりは無い。
それに、彼には途中退場してもらわなければならないのだ。
それまでは我慢をする事にした。




