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作られた記憶7
「どうやら終わっている様だな」
空中で樹は呟く。
下りると、部室棟前には皆が集っている。
犯人である冬子は眠っていた。
「頑張ったな、ご苦労だった」
樹は皆に労う。
「だが、まだ完全には片付いていない。犯人の拘束、及び君達の保護を理事長邸にて行う」
そう言うと、冬子を担ぎ上げた。
「結城、裏返ったのか?」
「あ、わかった?」
いつもの翔とは違う。
「ちゃんと戻りなさい」
「あはは、自力では無理かな?」
翔の言葉に樹は溜息をつく。
「こちらに」
翔は抵抗する気力は無いらしい。はーい、と軽く受け、樹に近付いた。
右手人差し指を翔の額に突く。
「戻れ」
そう言うと、翔は倒れていった。
「しばらくすれば戻っているだろう」
倒れた翔は、総平が慌てて受け止め無事だった。
「君達は後からゆっくり来る様に」
樹は言うと、さっさと飛んでいった。
「俺が担ぐ」
条治は溜息をつくと、背中に翔を乗せるよう指事をした。