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作られた記憶6
「私が、負けた?」
霧を出そうとするも動きを止められ、縄で縛られる。
これではもっと大きな人災など起こせない。
座らせられ、負の感情は湧く。
「こんな筈では、なかった…」
冬子は俯く。
これは魔法省への仕返し。
父を殺した、奴らへの。
ペタリ、手は床に付く。
「あーーーー!」
冬子は突然大声で叫ぶ。
その時だ。それを合図にしたように、学園の魔力が急激に跳ね上がった。
そして、ひび割れが始まる。
「お前っ!」
ニヤリ、冬子は笑う。
そして足掻くこともなく落ち、なかった。
「な、んで…」
そこで冬子は気絶した。
魔力の解放のせいであろう。
「結城、逃げるぞ!」
「当たり前」
翔は言うと、影を作り出した。
影の道、これはもう一人だから出来る技である。
「早くついてきなよ」
部室棟方面へ、その影を伸ばす。
地鳴りがし、残った皆も外に出ていた。
ひび割れは連鎖となる。
さっきまで条治達が居た校舎は、跡形もなく崩れていた。
部室棟に居た面子も慌てて外に出ていた。
「条治!」
翔の延びた影には翔自身と条治、条治に抱えられた冬子が居た。