作られた記憶1
条治はどうするか考えていると、校舎から卓が出るのを見た。
「なっ!とりあえず、行くぞ」
条治は有無を言わさず言う。
「フェンスを回って校舎に入る」
走りながら言う。
「熊さん、お願い」
声が聞こえた。
すると、正面から大きな熊のぬいぐるみが立ち塞がる。
その後ろに元凶の少女も居た。
少女の回りには大小様々な大きさのぬいぐるみが居る。
「俺が引き付ける、二人はあの子を捕まえろ」
「わかった」
そう答えると、二人は右に回った。
「来いよ」
言うと、手を曲げ挑発する。
構えると、熊さんは飛びかかった。
自らより少し大きなぬいぐるみ。
それは手作りの様だ。
二人は上手く捕まえられるだろうか?
だが、それは杞憂だった。
颯は少女に抱きつき、翔が負魔石チャームを砕いた。
その途端少女は倒れ、ぬいぐるみは魔力を失った。
「おっ!」
ぬいぐるみを正面から抱き止める。
ぬいぐるみはボロボロになっていた。
「悪かったな」
ぬいぐるみに言う。
ぬいぐるみを横たわらせ、少女をもたれ掛からせる。
「さっき言ってたよな?ぬいぐるみを元に戻せるか?」
「やってみます」
ぬいぐるみを触ると、破れが戻る。
「ああ、できるみたいだな。結城、フェンスを壊せ」
「は?」
「壊したら、連城?が戻す」
「成る程ね」
翔は納得すると、闇で人が通れる位の穴を開けた。
通ると、颯がさっきの要領で戻す。
校舎の壁も同様に、条治が壊して颯が直したのだった。