学園都市の混乱8
「凄いな…」
連城颯は呟く。
学生の団体を追いかけ学園まで辿り着くと、部室棟が破壊され花吹雪の竜巻が舞っていたのだ。
そしてこれは、一人の女子生徒の仕業だとわかる。
追いかけた生徒達の一人がそちらを指差していたからだ。
女子生徒はそちらを見ると歩き始める。
それに合わせ、花竜巻は動く。
青年達は、逃げた。
中央棟の方へ向かったのだ。
花竜巻はフェンスを壊し、それでも進む。
その時、上空を人が通った。
飛んでいたのだ。
それは、逃げる彼等と花吹雪の中央に来る。
そして、風のシールドを張った。
だが、粘ったけれどそれは駄目だった。
彼の威力の方が弱く、押し負ける。
結局は建物内に入り鍵をかけ隠れる。
「おいあんた、何でここにいる」
それは後ろからだった。
「あ…」
大きな事に気を取られ、後ろからに気付かなかった。
「怪しいな…」
もう一人もそう言うと、じろじろ見た。
「俺は…ただ隠れてるだけで」
二人は颯を怪しんだ。
そして、ピアスに目を付ける。
「それ…」
一人が呟く。
「これは露店商から買ったんだ」
言い訳みたいに慌てて言った。
「平気なのか?」
もう一人が問う。
「え、何が?」
その問いの意味がわからない。
俺はとても元気だ、いつもと変わらない。
変わった事といえば、でも言う必要も無いだろう。
「まあ、いいや。俺は中務条治、こいつは」
「結城翔。君は?」
「連城颯、来週からの転校生です」
学校を転々としようやく落ち着けると思ってからのこの騒動、本当に運が無い。