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学園都市の混乱7
「……」
彼は無言だった。
暗闇の中には何も無い。
前髪に留まるピンの飾りは紫、それを壊せば彼の暴走は止まる。
「大人しくしていて下さい」
翔はそう言いながら近づくが、そんなもので大人しくなる訳が無い。
周りに物が無いから爆発させるものは少ない。
そうしてじりじり近寄るが、勿論抵抗はある。
「ん?」
胸元が熱くなる。
シャツのボタンが爆弾になりつつあった。
翔は咄嗟に千切って投げた。
そのボタンは空で爆発する。
拘束で相手は動けないものの、近づけない。
爆発される前にボタンの付いている服を脱ぐ。
彼は遠距離特化型なのだろう。
翔の前ではあまり意味が無くなっていた。
その時だ、彼の手から砂が少しだが舞った。
そして直後に爆発する。
翔は咄嗟に自らを闇で包んだ。
「これは…」
自らした事とはいえ、翔は闇を身に纏ったのだ。
そして、一瞬で形が付く。
高速移動後、ピンに付く宝石を砕いた。
その途端、彼は気を失ったのだった。
「終わったな」
魔法を解き、条治と再会する。
二人を壁にもたれ掛からせると、学園に向けて翔と条治は走り出した。