魔法省魔法書管理部魔法古書管理室2
「甲斐君、一泊外泊だってね」
外出申請の為管理室へ行くと、管理人は軽く言った。
確かに外出はするが一泊とは何の事やら、逆に戸惑う。
「あれ?理事長からそう連絡来たよ」
どうやら昨日の話は葉月にも通っていたらしい。
そんな時だけ手回しがいいとは、呆れを越して感心する。
「はい、そうです」
樹は心を切り替えるとそう返事をした。
「一泊、か…」
部長も最初からそう言ってくれればいいのに人が悪い。
一泊用に荷造りし直し、樹は明日の為に就寝した。
船が出る。基本土日の定期船だ。
本土の船乗り場に家が近い生徒は休日毎に帰る場合もある。
「面倒くさいな」
船の中、つい呟いてしまう。
本来ならそんな事しなくても、飛行やテレポートで異動できるのだ。
学生なら定期船で本土まで、本当に面倒くさい。
それでも本土に着けば学生ではなくまで魔法省の人間として魔法が使えるので楽だ。
ゲートを通り、伸びをする。
これで魔法を使い放題。いや、消費できる。
「チェンジクローズ」
樹が鞄の中の服を思い浮かべて呟くと、学生服からスーツになる。
これから仕事へ行くので当たり前だ。
そして今度はテレポートする。
これにより、魔法省の前まで一瞬で異動したのだった。