166/228
学園都市の混乱1
「あら、意外と対抗者が多いわね」
彼女は呟く。
須田冬子は復讐の為にここに居た。
この学園に入学したのもその為だ。
目的は混乱を起こす事。
魔法省への復讐の為だ。
「魔力を強めて頂戴」
その言葉を誰にともなく言う。
しかしその言葉通り、島全体の魔力は高まる。
その分、負魔石の効力が発揮されるのだ。
ドンと音がする。
三年棟の屋上から見ると、文化部の部室棟が壊されていた。
桜の花びらが舞い上がる。
「麻友、ありがたいわ」
それは手芸部部長、岡田麻友のものだった。
文化部の部室棟が壊され、魔法部の部室も一緒に壊された筈だ。
そして、今はそこには対抗者が居ない。
ただその部室棟に居た者は倒れているだろう。
魔法省へ連絡する術は学園を掌握する事で無くしている。
きっと手立ては無い筈だ。
しかし、それは裏切られる。
ニャーンと突然大きな鳴き声がしたのだ。
「え?」
それは理事長宅の方からだった。
理事長は閉じ込めてあるから違う筈。
「な、何だったの?」
しかし、それは今は冬子にはわからないのだった。