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ばら蒔かれた負魔石6
部活前、冬子は業と遠回りをした。
「あっ!」
冬子は業と女子生徒とぶつかったのだ。
「ごめんなさい、怪我は無い?」
冬子は転んだ下級生に手を差し出す。
「いえ、大…」
「理子?」
「宮野?」
それぞれのクラスから、男子が顔を出す。
ここは二年生棟なのだ。
「大丈夫?」
「大丈夫か?」
二人は理子に手を差し出した。
「ごめんなさい、私がぶつかってしまったの」
冬子は二人に告げる。
その間に、理子は自ら起き上がっていた。
「お詫びといってはなんだけど…」
冬子はアクセサリーケースを出す。
飾りをイヤリングにくっ付ける。
それを理子に。
同じく飾りをそれぞれネックレスチェーンとチャームをそれぞれ飾りとセットで渡した。
「ありがとうございます…」
「明日、必ず身に付けて頂戴」
「はい…」
「じゃあね、宮野さん、高坂君、中村君」
こうして冬子は去っていった。
「あれ?名前…」
だが、冬子の姿はもう見えなかった。
「さて、できるだけばら蒔いたわね」
部屋にて、冬子は呟く。
部活後寮に戻ると、近隣の部屋の友人達にも沢山ばら蒔いた。
「フフ、明日が楽しみね」
冬子は眠りにつく。