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ばら蒔かれた負魔石5
「久しぶり」
冬子は部活にも顔を出す。
勿論、部活のある日を狙って戻っている。
冬子は手芸部に入っていた。
「おかえりなさい、先輩!」
一年生三宅敦子は手芸の手を止め立ち上がる。
他の部員も手を止めた。
冬子は部活に遅刻したが、気にも止めていない。
「先輩、見て下さい」
二年生の森田優子も嬉しそうに駆け寄る。
今は刺繍をしているらしく、部長に教わっているらしい。
「おかえりなさい、冬子」
部長岡田麻友は、区切りをつけると冬子に寄る。
「ただいま帰りました、部長」
そう言うと、冬子は麻友に微笑んだ。
「帰ってきてくれて嬉しいわ」
麻友がハグをすると、部員達は嬉しそうに二人を見る。
「私、チャームを買ってきたんです。皆お揃いですよ」
一年生には小さなハートの右に小さな宝石、二年生にはハートの中に宝石、三年生は一年生のものの大きなサイズのものだ。
皆礼を言うと、受け取っていく。
それにそれぞれチェーンやアクセサリー金具をつけていく。
「喜んでくれて嬉しいわ」
冬子はそう言うと、目を細めた。