魔法だと気付かない方がいい5
「では、病室に戻りましょう。目を」
「はい」
美月は素直に従う。
そして、次の瞬間には病室の中に居た。
「記憶力が良いのですね、関心しました」
「昔からです。勿論、忘れる事もありますけど一夜漬けとかには役に立ちますよ」
「そうですか…では、あなたにも魔法を忘れてもらいましょう」
「えっ⁉️」
「どうしました?」
「忘れたくありません」
その言葉に、樹は呆気に取られる。
自らの魔法で火災を起こし、母親を危機に晒したのだ。
火災事態を無くす事はできないが、忘れるに越したこと無い。
「魔法は関わる必要がなければそうした方がいい。貴方は故意に魔法を使った訳ではありません。だから魔法を忘れ、使わないのが一番いいんです」
「でも、そうしたら貴方の事を忘れるんじゃないですか?」
「そうでしょうね」
「それが嫌なんです。貴方と友達になりたい」
どこにそんな要素がある?自らと友人になって、なんの意味がある?樹はそう思った。
「それは意味の無い事です」
「嫌です、お願いします」
これ以上の応酬は無駄だ、樹はそう感じる。
「なら、魔法省に小魔力保持者として登録していただきます。そして、魔法に関して発語禁止する魔法をかけさせていただきます」
それは妥協案だった。
しかし、美月はその条件を快く飲んだ。