魔導同好会7
「さて、発表があります」
顧問の瀬戸睦月が入って来た所で翔が皆の注目を集める為大声で言う。
皆は一瞬翔を見るものの直ぐに目線を外した。
「2年になったら魔導同好会は魔法対戦大会、略して魔対会に出ます!」
「出れば?」
「魔力無くて良かった、関係無い」
総平と田中康雄は口々に言う。
一方睦月は後ろでニコニコしていた。
「個人戦なら君で充分じゃないの?」
樹は無関心に言う。
去年、樹は魔対会に警備員として駆り出されていた。
「だから、個人戦じゃなくて団体戦!」
「五人じゃなかった?人数足りないよ」
二人が無関心な為、樹が適当に対応する。
だが、翔はめげない。
「そう、だからあと二人勧誘しよう!」
翔が高らかに言うが、静かだった。
だが、一瞬の間を置いて総平は反応する。
「まさか、僕を入れてないよね?」
その言葉に翔はニコニコする。
「勿論、入ってるよ‼」
すると総平は立ち上がる。
「賞金出るよ」
その言葉に総平は静止する。
「魔法関連の就職に有利!」
翔は続ける。
「大会の間は授業免除!」
翔はニコリとする。
「どう?」
「すぐ負けるよ?」
総平は折れていた。
「構わないよ、出てくれたらね」
交渉は成立してしまった。
それを見て樹はマズイと感じる。
樹は魔法省管轄魔法管理官、つまり大会に出てはいけない人間なのだ。
「瀬戸さん、彼を止めてください」
樹は睦月に投げる。
彼はこの同好会の顧問だ、きっと止めてくれるに違いない。
「樹、ちゃんと許可は取ったよ」
許可、睦月の正体である葉月が言うのだ。
確実に上司の事だろう。
「あのオヤジ…」
樹は呆れる。
何故自分の周りにはそういう人が多いのか、そう考えてしまうのだった。