水の魔法使い達8
「これは!」
家屋の中、魔法省消防士達は驚く。
燃える火の中、負魔石付きピンを持った主婦は自らの周りを風魔法で守っていた。
そんな中、全魔法省関係者に通達が入る。
「負魔石を割って下さい解決します」
既に周りの火はかなり小さい。
魔力反応がある髪飾りを見て、それが負魔石だと判断した。
負魔石が割れると、風魔法も消える。
消防士の一人が彼女を抱えると、皆揃って家屋を出た。
「運がいい…」
消防士は呟く。
それにほかの消防士達も賛同した。
そんな中、色々な種類の魔法使い達にも勿論同じ通達はある。
「成る程、原因が判れば対処は簡単だ」
「そうですね」
歌舞伎役者中村雨水、梅太郎もとい、藤木一郎、龍親子も遠征先で事件の対処をしていた。
大きなデパートの中、犯人を見つけて睨みあっていたのだ。
「負魔石、あれか…」
魔力の放出源、イヤリングに目を着ける。
「その耳飾りを渡しなさい」
「嫌よ、こんな面白い能力手に入ったんだもの、利用しなきゃ!」
「君は火事を起こしたんだ、大人しく投降しなさい」
「尚更無理よ!」
その言葉を聞き、一郎は溜息をついた。
扇子を開き、彼女に水魔法を使う。
「そんな使い方が出来るのね」
場所は100円ショップの前、丁度夏グッズの出始めた矢先だった故、彼女の後ろには扇子や団扇が並んでいた。
それを見ると、両手で扇子を開く。
「こうかな?」
ニヤリと笑い、先程の一郎の真似をして扇子を仰いで一郎に向けて、炎を出す。
「これだから若者は…」
一郎は再び溜息をつく。
今度は三度、仰いだ。
「危なっ!」
犯人の女子高生は、ギリギリで水を避けた。
しかし、一郎が惹き付けている間に龍が後ろに回っていた。
「すまない」
龍が後ろから拘束していた故、一郎は女子高生の腹に一撃を加えた。
女子高生は気絶しその後イヤリングを見ると、魔力で負魔石を割った。
「隊長、解決しました」
「わかった。じゃあ、後はよろしく」
龍の通信にかったるそうにそう返した隊長、倉本雨季は後は連絡するなとばかりに通信が途絶えた。
「龍、お前も大変だな」
「仕方ありませんよ。彼女は隊長、私は副隊長なのですから」
龍は溜息をつく。
「これだから若者は…」
一郎は先程も口にした台詞を吐いた。