水の魔法使い達7
「さて、始めましょう」
樹は告げる。
その言葉にまず、陽平がワープゲートを出す。
そして直ぐに、一花の作った水の子鹿がそこに飛び込んだ。
「卓、頼んだよ」
「はい!」
そして、卓と樹も飛び込んだ。
卓は水魔法で周りの火を消しながら樹と共に子鹿の後を追う。
目的地まで近いのだろう、子鹿は少しづつ小さくなりながら二人を案内する。
やがて子鹿が居なくなりある地点を抜けると、火は突如無くなった。
正確には、中心から半径三メートル半円状のみ火が無くなっていた。
上を見上げると、その上は火が渦巻いている。
そして中心地には、制服姿の女子が居た。
いや、負魔石に閉じ込められていた。
「この子が…」
「元凶。魔法を知らない子だ、あの時の翔とは違い、コントロールが出来なかったみたいだな」
樹は近付くと、負魔石に触れた。
魔力を手から出す。
少しづつ負魔石を樹は掌握していく。
そして、ヒビが入る。
ついには負魔石は割れ、少女は樹の胸に倒れ込んだ。
それと同時に外の火が迫る。
「早く!」
伸ばした樹の手と卓の手が触れる。
その瞬間、樹はテレポートした。
「魔法省に通達して下さい、負魔石を魔力で割れば修まると」
辿り着いてすぐ、陽平に告げる。
「わかった!」
直ぐに陽平はワープゲートで消えた。
「火は?」
「水魔法で消えつつある様です」
「原因を取り除いたお蔭ですね」
ありさと一花もホッとしていた。