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魔導同好会6
「ごめん、遅くなった!」
翔は開口一番言った。
文化部校舎最奥の端、本来同好会は入れない所を理事長の計らいで使えるらしい。
「煩い」
二人のうちの一人が呟く。
「彼は藤原総平、同じクラスなんだ。部活動は強制だから幽霊部員で良いって言ったら入ってくれたんだ」
総平は樹を見るとペコリと挨拶をすると下を向いた。
「で、そっちに居るのが田中康雄君。適当に声をかけまくったら応じてくれたんだ」
「適当って…」
「よろしく」
田中康雄はそれだけ言うと樹達から視線を外した。
「彼、魔力無いよね」
田中康雄をじっと見た後、樹は言う。
すると翔は目を輝かせた。
「よくわかったね!そう、無いんだ!樹、そんなのもわかるなんて凄い!」
本来魔力は測る機械がある。
魔力を測るのは魔力の低い者はできないから。
だが、樹がそれをできて翔は感激していた。
だが、魔力が無いのに部員で良いのだろうか?
「本来は良くないけど、人数が足りない状況で我が儘は言ってられないよ!」
「そう、まぁ君以外人数合わせって事か」
樹は納得する。
この部活は翔の為の部活動、樹はそう理解した。