ゴースト&キャット9
古書から出ると、樹は伝言を伝える。
「そうか…エルビスさん、ありがとう」
睦月は古書に向かって言った。
「私もこのままなんだよね!」
「そうなるな。だが、問題が起きても厄介だ。睦月さんとネネコ、お前は目の届く範囲に居てもらう」
「はーい!」
「わかってるよ」
二人は快諾する。
そして、行きと同じ様にエレベーターで理事長邸に戻った。
葉月は既に戻っていた。
応接間で明日、二人を戻すと説明する。
「なら、樹とネネコは泊まりね」
「助かります」
その後、皐月と雨月に指示をする。
「兄さん、戻ったら二人を誉めてあげて頂戴」
「良いのかい?」
「勿論、兄さんの子供でしょう?」
「わかった。ありがとう」
睦月は優しく目を細めた。
直ぐに客室のベッドメイキングができる。
「皐月、雨月、今日と明日は休んで頂戴」
「何故ですか?」
「兄さんと、家族で過ごして欲しいの。明日になったら兄はまた居なくなるから」
双子は動じる。
「僕は魔法で具現化されているだけだよ。いつも君達を見守っていたのは変わらない」
「何と、呼べば良いですか?」
「教えて下さい」
双子は睦月に問う。
「父と呼んでくれるかい?」
「父…」
「父さま…」
双子にも感情はある。
皐月と雨月は父に初めて抱擁した。