ゴースト&キャット4
「愛里!」
「雪村さん!」
あちこちで声が響く。
陸上部捜索隊は、呼びながら進んでいった。
「愛里、どこ!」
里穂の声は、他の部員同様響く。
だが、部長にかかった電話に一変した。
顧問命令、引き返す様指示があったのだ。
それは他の部員にも伝えられる。
「里穂も引き返して!」
「もう少しだけ!」
部員達は引き返し、里穂だけが残る。
「愛里!」
その時だった。
その声に反応した様に、突然愛里は現れた。
里穂を押し倒すと、頬を舐める。
「愛里、心配したんだよ⁉️」
だが、それにはお構い無しで今度は頬ずりをした。
「関口さん」
葉月は呼び掛ける。
他の生徒が見つける前に本当は捕獲する筈だった。
しかし、先に里穂が見つけてしまっていた。
「理事長…」
「雪村さんは見つけました。ええ、関口さんも一緒です。後はお願いします」
顧問に連絡をつけ、騒動は沈静化した。
「関口さん、こちらです」
愛里を魔法で眠らせ、エレベーターに案内する。
「エレベーター、使えるんですね」
「ええ、普段は使えませんが」
学園を通りすぎ、理事長宅に着く。
そこには、双子が出迎えていた。
「おかえりなさいませ」
双子は頭を下げるとすでに魔法で軽くなっている愛里を皐月が受け取り、雨月は里穂を応接間に案内した。




