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ゴースト&キャット1
「睦月…」
理事長宅敷地内、その端には洋式の墓があった。
睦月瀬戸と英語で書かれた墓石は、綺麗に掃除がされている。
祥月命日であるその日、葉月は久々にここに立っていた。
花束を置き、手を組み合わせる。
数秒の間目を瞑ると、再び目を開いた。
「さて、帰りましょう」
二人のメイドに告げると、葉月は引き返した。
彼らは双子、だが魔法は使えない。
「皐月、雨月」
「はい」
呼ばれた二人は返事をすると、葉月の後ろを歩いた。
彼女達は葉月に似ていた。
それは葉月の兄である睦月の娘達なのだから、当然である。
その後、ポーッとシャボン玉の様な光が現れる。
だが、それに気付く者は居なかった。
それは団々人の形を作る。
三人の後ろ姿を見送るその者はまだ形成されておらず、動けなかった。