魔法対戦大会9
「条治、勝ってくれよ」
樹は言う。
三人が戦った勝敗で樹の行動が決まるのだ。
今は一勝一敗、条治が負ければ樹は魔法を使わなければいけない。しかし、条治が勝てば使う必要が無くなる。
大将戦に回せればいいからだ。
条治が控え室から出ると同時に総平が帰ってきた。
「お疲れ様、君はやはり身体能力強化が必要みたいだね」
「面倒だからいいよ」
「魔法関係無しに体力はあった方がいいよ?」
「必要無いから」
そう言うと、総平は座った。
「始まるよ!」
卓の声に、テレビの方を見る。
丁度、始まる直前だった。
「現在一勝一敗、次は海柳高校中務条治対東都高校高橋俊太だ!」
司会者は叫ぶ。
二人は中央まで歩き、試合が始まった。
二人は構えると、動かなかった。
「君から来なよ」
俊太が言うと、条治はニヤリと笑う。
「なら、そうさせて貰うよ!」
それと同時に走り、左手首を掴む。
そして右手で俊太を上げると、そのまま腹を持ち上げてひっくり返す。
「君、手加減した?」
条治の禁止事項はスピード、魔力を使ったのも右腕だけだ。
俊太は倒れる事は無かった。
「今度はこちらからいくよ!」
そう言うと、腹に向けてパンチした。
「やべっ!」
持ち前の反射神経で条治は避けたのだった。