魔法対戦大会1
ホテルの会議室、部活顧問と数人の魔法省職員は集まっていた。
「今回は初出場校が二校あるので、先ずは自己紹介から始めましょう」
前回の優勝校代表雪村涼真は、統率を取る。
「前回優勝した雪村高等学校魔導研究部顧問、雪村涼真です。今年も優勝を獲得したいと思います」
そう言うと、隣の女性を見た。
「私は藤田仁美、東都高校魔法部顧問をしています。よろしくお願いします」
「高畑恭子、南海道高校魔法部顧問です。次どうぞ」
そして、樹にバトンが渡る。
「海柳高等学校、選手兼顧問代理、甲斐樹です。よろしくお願いします」
頭を下げると、最後の一人が口を開く。
「長峰水です」
その名前に樹は驚く。
それは、昔友人だった友の名だった。
「新しく出来た佐渡高等学校で魔法部を作らせて頂きました。目標は…一回戦突破です」
一瞬樹を見たかと思うと、笑顔で言った。
「目標が低いな…底が知れる」
涼真が呟くが、それに反論する者は居なかった。
「では、対戦カードを決めましょうか。前回優勝したうちの高校はシードとなります。ですから、残り四校でお決めください」
そう言うと、涼真は座った。
トーナメント制故、二校づつの戦いとなる。
結局はグーパーじゃんけんになった。
組分けは海柳対南海道、佐渡対南海道となった。
「先と後、どっちにしますか?」
身長の高い優男、水の笑みに女性陣はやられる。
「海柳高校さんは?」
「……」
「じゃあ、じゃんけんにしましょう」
水を睨む樹に、提案する。
「樹、睨まないでよ」
小声で水は言う。樹は更に驚いた。
「じゃんけんぽん!」
こうして、対戦の順番は決まった。